日本は「戦争」すると思いますか?

戦争・軍事と日本の距離をニュースウォッチしています。

今週のおもなできごと(2015.7.29-8.09)

おわびとお知らせ:
「日本は戦争すると思いますか?」のシールアンケートの結果まとめとして運営本サイトですが、取材者の都合により、これまでの1~2週に一回ペースでのアンケート採取ができなくなりました。アンケート結果の掲載はしばらくお休みしますが、今後も随時アンケートは行う予定ですので、その際の参考のため、日本と世界のニュースのまとめだけは定期的にアップしていきます(1~2週間に一回程度)。
 
参考:今週のおもなできごと(2015.7.29-8.09)
[国内/戦後70年]
宮内庁が1945年8月15日の玉音放送の原盤と、「終戦の聖断」をくだした「御文庫付属室」の現状の写真を公開する。
・6日首相の戦後70年談話について、有識者会議である「21世紀構想懇談会」が報告書を提出。「おわび」については触れず、「侵略」の文言も一部の委員から否定があったとする。戦後談話はこれまで閣議決定を経ず「首相の談話」として発表する予定であったが、閣議決定を行う方向に。
・8月6日広島原爆から70年。平和祈念式典にこれまで最大の外国大使が出席。核保有国である米英仏ロの大使も出席したが、中国は欠席。安倍首相は、毎年首相あいさつに入っていた「非核三原則」について触れず。
・同日夜マツダスタジアムで広島カープが恒例のピースナイターを実施。広島県内の小学生で原爆投下の日=8月6日の正答率が30%台であることを危惧し「86を未来に」として、全員が胸にはPEACE、背中に86番の背番号をつけた特別ユニフォームで試合。8対2で阪神に敗れる。
・9日長崎原爆から70年。平和祈念式典では長崎市長、被爆者代表が安保法案について言及。首相挨拶には「非核三原則」の文言が盛り込まれた。
 
[安保法案審議]
・28日参議院特別委員会で安倍首相が、これまで「他国の領海での武力行使の唯一の例外」「それ以外は念頭にない」としてきたホルムズ海峡のほかに、中国が埋め立てを進めている南シナ海も「考えうる」と発言。
・3日特別委:中谷防衛相が「手榴弾は弾薬・消耗品であるので、他国軍に提供することが可能。クラスター爆弾劣化ウラン弾は(日本はオスロ条約に批准しているため所有していないが)輸送することを排除しない」と答弁。4日同:ミサイルも弾薬であるが、提供は想定していないと答弁。5日同:核ミサイルも輸送は可能であるが、非核三原則により想定はしない、と答弁した。
・安倍首相は5月28日の衆議院特別委において、小沢(維新)議員の「弾薬提供は武力行使」との質問に対し、「弾薬提供はアメリカからの要請があったため、除外しなかった」と答弁している。
・7日特別委:安倍首相は「非核三原則は国是であり、核兵器の輸送は120%ない」と答弁。山井(民主)議員の「その国是を広島で言わなかった」との追求に対し、「総理大臣として言っているんだから間違いない」と反論した。
 
[沖縄/辺野古新基地]
・29日沖縄県・翁長知事が、仲井間前知事の辺野古埋め立て承認を検証する第三者委員会が「法的瑕疵がある」と結論した報告書を公開。24日に防衛局が県に提出した本体工事の協議文書に対し「全体の設計が終了してから協議」と回答。
・3日沖縄防衛局は協議文書を「取り下げる考えはない」と表明。
・4日菅官房長官は新基地予定の大浦湾での工事を、8月10日から9月9日まで中断することを発表。沖縄県はその間行政手続きを行わず、知事会談や事務レベル協議を続けることを確認したとする。
・7日翁長知事は官邸で、安倍首相と会談。沖縄振興予算を3000億円規模でと要求したが、政府からは「最大限努力する」との回答。
 
[国内その他]
・31日ウィキリークスがアメリカNSAが日本政府や企業、銀行を盗聴していたことを暴露。自宅の電話も含まれているとされる。外務省はNSAに対して説明を要求しているが、回答はない。
・30日東京高裁が厚木飛行場の騒音差し止め訴訟判決を出す。自衛隊機の発着については、夜間飛行の差し止め、今後の被害も含めた94億円の賠償を認めたが、米軍機については差し止め要求できないとした。防衛庁は上告し、最高裁で争われる。
・世田谷区は8月15日に「平和資料館」を開館する。公共施設としては都内初。
横浜市大阪市などが育鵬社の中学教科書「新しい歴史教科書」「新しい公民」を採択。
 
[海外]
・30日、タリバーンが指導者であるオマール師が数年前に病死していたと公表。ナンバー2であったマンスール幹部を選出。7月上旬にタリバーンはアフガン政府と会談し、オマール師がそれを容認するとした声明も出していたが、和平協議はふたたび延期。パキスタンタリバーン(PTT)と対立を強めるパキスタンは和平協議に反対している。
・7日アフガニスタンの首都カブールで警察学校とNATO軍基地に爆弾テロ、銃撃があり、35人が死亡。
 
・31日パレスチナヨルダン川西岸地区で、民家に火炎瓶が投げ込まれ、1歳児が死亡。ユダヤ過激派による犯行と思われる。同日、2000人規模の抗議デモが行われ、18歳の少年が撃たれて死亡する。イスラエル軍は少年が火炎瓶を投げた、と説明している。
・マリのホテルで武装集団による占拠が発生。8日に軍が突入し、救出作戦を行ったが、12人が死亡。犯人は全員死亡。
 
インドネシアスカルノ教育財団は世界の指導者に対して授与する「スカルノ賞」に北朝鮮金正恩主席を選出。「バンドン会議の理念である帝国主義と戦うという哲学を保持しつづけている」のが理由。
 
[トルコ/IS]
・(前週より)20日シリア国境に近いスルチで、クルド人団体が会議を開いていた文化センターに対してISが自爆テロ。30人死亡。23日シリア国境で、国境警備員がシリア側からの銃撃を受けて応戦、一人が死亡。銃撃はISによるもの、とトルコ軍は声明を出し、国境線に戦車などを配備した。同日トルコはアメリカ主導でISに対して空爆を続けている有志連合に基地使用の許可を初めて出す。
・(続き)24日朝、トルコ軍のF16戦闘機3機がシリア北部のIS関連とみられる施設3ケ所を空爆。トルコが空爆に踏み切ったのは初めて。同日トルコ軍はさらに二回の空爆を実施。同時にイラク北部のPKK(クルド人武装組織)の拠点を空爆
・(今週より)
・トルコ政府はクルドHDPのデミルタシュ党首を2013年の反政府デモを扇動したとして、捜査を始めた。
・4日トルコのインジルリク空軍基地に米軍のF15、F16戦闘機など30機が配備される。トルコが基地提供するのは初めて(これまではカタールから発進していた)。5日同基地からシリアのIS支配地域であるラッカへの空爆が実施された。
・トルコはISに合計3回の空爆を実施、PKKに対しては6回以上が確認され、民間人を含む260人以上を殺害している。トルコ軍は空爆したのはPKKの支配地域であり、PKKクルド人住民を人間の盾として使っていると批難。
PKKによる報復と見られる爆破テロなどがトルコ国内で増加。
・ISはシリア中部のカリヤタインを制圧。住民230人を拉致。キリスト教徒60人以上が含まれているとされる。
  *クルド人:トルコ・シリア・イラク・イランなどにまたがって3000万人が居住する「世界最大の(独自国家を持たない)少数民族」。宗教はイスラム教スンニ派。各国での迫害と、それに対抗する武装抗争が続いている。
シリアやイラクにおいては、ISがコバニなどクルド人地区で勢力を拡大。クルド人武装組織のPKKなどが対抗し、シリア正規軍以上の戦績を上げているといわれる。PKKはトルコなど周辺各国からはテロ組織と見なされている(和平交渉が13年から凍結)。
トルコでは今年の総選挙でクルド系の国民民主主義党(HDP)が79議席獲得と大躍進。クルド人以外の少数民族やさまざまなマイノリティの受け皿となっている。HDPはPKKとのつながりを思想的なものであり、武力での連携はしていないとしている。